eK4事業報告書
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事 業 概 要 ①社会的な要請等を踏まえた連携取組の必要性及びその背景四国の人口は2050年には400万人から280万人に減少すると予測されている。少子高齢化も進行している。この様な厳しい状況の中、四国の自立的発展を促すためには、『四国は一つ』という意識を共有する協調的地域づくりを行う必要がある。四国経済連合会では、四国に住む人が県域を越え四国全体の魅力や課題についての共通認識を深めるため、平成18年度から四国を多様な視点で見つめ直す活動に取り組んでいる。具体的な取り組みは「四国の広域的課題を探る」「四国の資源の魅力を再認識する」「四国ブランドづくりを進める」「四国の歴史・地勢・文化・伝統の価値を再認識する」「四国への愛着心や郷土愛を醸成する」等である。これらの取り組みを先導し、魅力ある地域づくりを拓くためには、地域の自立・活性化に資する教育プログラムによる人材育成が求められている。高度基幹産業の集積が少ない四国にとって、農林水産業やそれに関連する食品製造業等が地域経済の基軸であり、これらの産業の強みを活かした経済活性化が重要である。そのためには、製造業・サービス業等と農林水産業の資源や技術、ノウハウ等を連携させる新たな視点に立脚した農林水産業の高度化が喫緊の課題である。これらの課題に取り組むためには、農商工が連携する学際的教育プログラムによる人材育成が求められている。図1地域が期待する人材育成四国の大学に対し、大学の社会貢献として、地域づくりを担う人材育成への期待が大きい。特に、上記のような課題に取り組む人材育成は切実な地域の要請である。図1に示すように、これらの地域づくりを担う人材には、四国の「広域的課題、資源の魅力、ブランド、歴史、地勢、文化、伝統等」を包含する『四国学』の理解と、学際的専門知識が必要である。しかし、四国の地域が抱える課題の多様さと複雑さから、四国の個々の大学で地域のニーズに応える人材を育成するのは困難である。したがって、大学が連携して個々の大学の特色ある教養教育科目を相互に活用するとともに、協働して専門教育の高度化・学際化に取り組む必要がある。大学は18歳人口の減少で全入時代を迎えている。この状況下、優秀な学生を確保するには、四国の大学は、全国の高校生やその保護者に「四国についての学び」「四国における学びと生活」の魅力を訴求しなければならない。これまで以上に四国のブランド、歴史、文化、伝統等の四国の魅力の発信に努め、四国外に在住する高校生に四国の大学に入学したい思いを抱かせる工夫が求められる。図2四国の魅力と特色ある教育研究の例歴史的背景の異なる四国の大学は、個々の大学の特徴を活かした教育研究を進めてきた(図2を参照)。個々の大学で強みのある教育研究、例えば、瀬戸内圏、黒潮圏、遍路歴史文化、地域史、地域産業・経済、希少糖、うどん、LED、阿波藍、それに瀬戸内海、土佐の海、里山・里川等の環境、に関わる教育研究が展開されているので、上述の「人材育成」や「四国の魅力の発信」に必要な教育資源が醸成されている。これらの教育資源を戦略的に連携させ、集約・発展させると、「協調的地域づくりを先導する人材や農商工連携等を担う人材の育成」や「魅力ある四国の学びの発信」ができる教育基盤『四国の知』が形成できる。9

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