eK4事業報告書
120/168

1 はじめに 2008年,香川大学を代表校とする取組「『四国の知』の集積を基盤とした四国の地域づくりを担う人材育成」が,文部科学省戦略的大学連携支援事業に採択された.これを受けて,徳島・鳴門教育・香川・愛媛・高知・四国・徳島文理・高知工科の国公私立8大学は,e-Knowledgeコンソーシアム四国を設立した(以下,eK4と略称する).eK4が目指すところは,各大学が持つ教育・研究資源を「四国学」として学問体系化し,これをeラーニングの活用によって相互に共有することで,現在の四国が抱える様々な広域的課題に取り組む人材を育成することにある. 筆者は2008年度から2010年度まで,eK4事務局長補佐,四国学ワーキンググループ(以下,WGと略称する)委員,教育・研究プロジェクト専門委員として,eラーニング教材の開発に従事した.また,自身の講義をeラーニング教材として提供し,2010年度後期にeラーニング形式で実施された3科目のメンタリングも担当した.本稿では,主に香川大学における2008年度から2010年度までの活動を紹介した上で,今後の大学における地域学のあり方を展望する. 2 eラーニング教材の開発 「四国学」とは,四国の特徴をさまざまな観点から取り上げ,四国の魅力を新発見・再発見し,さらに四国の未来を構築していくための学問体系である[1].現状では「歴史」「社会」「自然」「文芸」の4部門より構成されている.たとえば,地域史,瀬戸内圏研究,希少糖,うどん,LED,阿波藍,地場産業・経済,黒潮圏研究,土佐の海の環境,里山・里川の環境,遍路歴史文化などが,これに含まれる(図1).2009年5月には,各大学から部門ごとに1~4名の担当教員を選出して,四国学WGが設置され,上記の題材を取り上げた各大学の講義等を収録・編集する形で,eラーニング教材の開発が本格的に開始された. 香川大学では,総合情報センター鈴木研究室(2008年11月~2010年9月)を拠点として,専任の技術補佐員2名がeラーニング教材開発に従事し,その技術指導のもと,学生サポートスタッフ約10名が実際の講義収録・編集作業に当たった.撮影・編集作業は学生2名体制で行い,1回(90分)の講義につき,撮影2時間(準備15分+講義90分+撤収15分),編集3時間,計5時間の作業を行った.収録科目の選定および撮影協力の依頼は,主に四国学WG委員が担当した.開発したeラーニング教材の利用に関しては,講義を担当した教員と大学との間で,利用方法・期間などを定めた利用許諾契約書を取り交わすことにより,著作権・所有権の明確化につとめた. 上記の作業工程を経て,2010年9月までの間に,香川大学では36科目281本,eK4加盟8大学合計では121科目1048本のeラ【図1】四国の特色ある研究・教育 118

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です