eK4事業報告書
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雑音等は編集で可能な限り加工したが,収録時の環境によっては改善しきれないケースもあった.今後の課題である. (2)については,約75%が「是非受講したい」「機会があれば受講したい」と回答し,その理由としては「好きな時間に学習できる」「家でも学習できる」「繰り返し学習できる」という点を挙げる回答が多かった.これにより,eラーニング形式での講義の実施に対して,学生からは高い評価が得られていることが明らかとなった. (3)については,①資格関連科目,②語学科目,③教養科目,④他大学の単位互換科目で約75%を占めた.①・②は反復学習が必要な科目であり,(2)にも見られた「繰り返し学習できる」というeラーニングの長所に,期待が寄せられているものと推測される.また「四国学」の取り組みは③・④に該当するが,こうした教養科目や単位互換科目のeラーニング教材化を望む声が多いことが確認できた.これは「四国学」の継続に十分な根拠を与えるものと言える. 4 地域学とeラーニング 近年,日本各地の大学・自治体・コンソーシアム等において「東北学」「江戸学」「京都学」「近江学」など,地域学に関する取組が非常に盛んである.しかし一方で,受講者の興味・知識は実に様々であり,従来の対面形式の講義・公開講座・シンポジウム等では,地域学の魅力を十分に伝え切れていないことが,課題として指摘されている[2].こうした中で「四国学」が存在感を示すためには,何よりeラーニングによる展開を前面に押し出していく必要がある. たとえば,自分が暮らす地域の成り立ちを探求する地域史の分野は,地域学において主要な位置を占めている[3].また最近では,社会人の学び直しがブームとなっており,社会人向けに書き直された日本史の教科書がベストセラーにもなっている[4]. そこで「四国の歴史と文化」で使用したような教養教育のeラーニング教材や,高校で日本史を選択しなかった学生を対象とした初年次教育・リメディアル教育のためのeラーニング教材を新たに開発し,これらを大学の講義で学生に提供するのみならず,インターネット講座として一般にも配信してはどうか.それは大学教育を充実させると同時に,大学の地域貢献の幅を広げることにもつながるであろう.教育・研究資源を体系化し,ICTを積極的に活用しながら、その魅力を社会の個別的かつ多様なニーズに合わせて広く発信していくことが,現在の大学における地域学には求められていると考えられる. 参考文献 [1] 鈴木正信:「eラーニングによる「四国学」の構築と展開」,香川大学総合情報センター年報,No.7,pp.16-20,2010.鈴木正信;林敏浩:「e-Learningによる四国の大学連携」,教育システム情報学会研究報告,Vol.25,No.3,pp.39-42,2010. [2] 第7回全国大学コンソーシアム研究交流フォーラム分科会報告(2010/09/12). [3] 森浩一(編):「地域学から歴史を読む」,千葉県,大巧社,2004.鈴木正信:「四国の歴史教育・研究とデータベース」,日本歴史,No.740,pp.103-106,2010. [4] 五味文彦;鳥海靖:「もういちど読む山川日本史」,山川出版社,2009・ 122

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